1月21日に札幌市大倉山ジャンプ競技場で行なわれた、ノルディックスキー・ジャンプのコンチネンタルカップ(兼STV杯国際ジャンプ大会)で、葛西紀明(土屋ホーム)が1回目121メートル、2回目117メートルを記録し(21位)、2月のワールドカップ札幌大会の代表入りを決めた。

 【画像】欧州メディアに取り上げられる51歳ジャンパー・葛西紀明 午前中には1回目132.5メートル、2回目130.5メートルで11位に入り、10人が臨んだ日本人選手の中でトップに立った葛西は、前日(兼HTB杯)にも1回目118メートル、2回目126.5メートルを飛んで日本人選手最高の9位と、51歳にしてその健在ぶりをアピールしている。

 16歳で臨んだ初出場の1988年以降、W杯通算17勝(日本歴代2位)を誇り、42歳176日(2014年)での優勝、44歳293日(2017年)での表彰台という最年長記録(前者はギネス記録)を打ち立てた偉人は、同じくギネス記録となる自身の最多通算569試合出場を、4年ぶりに予選を突破して更新できるかに期待がかかる。

 さらなる高みを目指す大ベテランジャンパーについては、国外のメディアも注目し、とりわけ20日のコンチネンタル杯9位入りに対しては多くの賛辞が寄せられている。ドイツのスポーツ専門サイト『SPOX』は、「今年(6月6日)で52歳となる日本スキージャンプのレジェンドは、再びその競技力を高めている」と報じ、その偉業を称えた。

 同メディアは、「(20日の2回目のジャンプで)『空飛ぶ恐竜』は126.5メートルを飛び、全体3番目のポイントを得て、ドイツのチャンピオンであるマルティン・ハマン(10位)の上につけた」と綴り、ドイツの全4選手がこの日本人選手の後塵を拝したことを強調している。

 また、来月のW杯についても「予選を通過する可能性は非常に高く、このレベルの競技で初めての50代の選手になるだろう」と太鼓判を押し、さらには「2度の総合優勝を誇る小林陵侑の後に続く選手のクオリティーに難がある日本の代表チームにおいて、このシニアが昇格を果たすことも考えられる」とも綴った。
  ポーランド・メディアでは、スポーツ専門チャンネル『EUROSPORT』のポーランド版が「キャリアのスタートから何年も経ったにもかかわらず、経験豊富な日本人は、今でも遠くまでジャンプすることができる。土曜日の競技では、彼は日本人選手の中で最も優れており、またポーランド人も2人倒した」と、こちらも自国選手を引き合いに出し、葛西の強さを強調。一方、『SPORT.PL』は以下のように綴り、彼のキャリアに敬意を表している。
 「葛西は、スキージャンプ・ファンにとっては説明する必要のない名前だ。32年前に、チェコスロバキアのハラホフで金メダルを獲得し、2年後のリレハンメル・オリンピック団体戦では銀メダルを獲得した。それはアダム・マリシュ(W杯通算39勝/1995年デビュー)が大成功を収めるずっと前のことだ。信じられないことだが、葛西は51歳の現在もジャンプをしている……我が国の若いジャンパーにとっては羨ましい限りである」

構成●THE DIGEST編集部

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